ねぇ……どうして貴方は、
*Noisy*
2005-2002.T・U・E.WhiteBox.Rin Inoue.Josefine-kainahime
僕の背中しか見ないのかなぁ…? 『アウェルサ・ウェヌス』 夕闇。 次第に濃くなっていく空の色。 朱が血みたいになって、空へ広がる真っ赤な染み。 じわり、じわりと、病んでるみたいだ。 まるで僕と同じで、ただ、ずっと。 浸蝕していく、アメーバ。 単一細胞、心はなく。 生存本能、浅ましく。 それでも怠惰に、ただ在るのみで。 気温は生温かく、寒いよりずっと悪寒を覚える。 暖かいようで寒い、今は何月なんだろう? 季節は春?秋?それとも、冬? ―――そんな事、どうだっていいけど。 それさえ知らなかったら、貴方に向ける言葉が無いから。 僕には語る、「自分」も無いし。 だからいつも、ただ、ずっと、僕は窓から外を眺めてた。 「……」 音もないままに、 鋭利な刃物が傍をかすめたような、 そんな緊張と恐怖が入り混じった感覚。 どんよりと緩く流れていた空気が硬く変わった。 背後から音もなくそっと、僕の身体に廻された腕が、 だだ黙々と、重みを諭す。 僕には、ね。何もないから、 それからどうにか繋げる言葉だって出てはこないけど、 それでも自分の体温が下がっていくような気がしたのは本当で、 貴方の腕に、それを回復する温もりは無いんだって分かってた。 それに代わる嘘の言葉や、嘘の優しささえも、何も無い事も。 後ろから廻された腕は、なだらかに僕の身体で稜線を描く。 貴方の気配は、僕の耳の裏側に届く生温かい息だけで、 それが何となく怖かった。 肩口から忍び込んだ貴方の指が、舐めるように僕を蠢いている。 それでも冷めた僕の心は、 慣らされた、”その”感覚へ自分自身を導こうと、 何もない頭の中を、必死に壊して、壊して、壊して。 壊れた。 ガタガタと崩れ落ちた意識。 自分自身をこんなにコントロール出来るようになった事、 きっと貴方は誉めてなんかくれないだろうけど、 それでも、それは、僕自信が作り上げた僕で。 どんな誰にだって真似は出来ないんだろうね? お陰で、貴方じゃない誰かにだって勝手に反応しちゃうから、 僕はいつも壊れっぱなし。 ノイズばかり吐く無能なラジオと同じ、 感度だけは良くって、勝手に無駄な電波を受信して、喘ぐ。 ”その行為”だけに支配された頭では、最早体は支えられなくて、 僕はそのまま窓の桟にもたれかかる。 足はガクガクして、力が入らず、 ただ、貴方のなすが侭に、 その指や舌で追い立てられるだけの、醜い動物。 開く事のない窓。 視界を狭める鉄の杭がびっしり埋められた、鍵のない窓から、 一番星が見える。 ああ、まるで掴めそうだなぁ、なんて妄想まで浮かんでくるのは、 きっと僕が窓の外を知らないからだ。 ここから外の世界は、きっとどんなものだって触れられるほど近くにあって、 僕にはそれが無い、ただそれだけの事なのに、 なのに、 つい―――思ってしまうんだ。 そんな妄想も、内部を突き上げられる感覚に、どうせすぐに消えてしまうけど。 崩れそうな身体を、鉛のストライプに縁取られた窓に掛けた手で支えて、 僕はズルズルと堕ちていった。 そのままだと床につっ伏してしまいそうな僕の、 腰から下だけでも貴方が支えてくれていて良かった。 抱き締めるなんて意味でもなく、 それが貴方にはただ便宜上の事だったとしても、 僕には自分を失って声を上げるのが楽だから。 僕の嬌声を聞くと、貴方は少し嬉んで、更に僕を突き上げる。 繋がった場所から聞こえる、ぬちゃぬちゃと湿った音で、 もっと僕を遠くにイッちゃうように狂わせて。 そうでないと、折角壊れた僕の頭がまた静かになってしまうから、 いつまでも、いつまでも、電波を頂戴。 僕は脅えたくないから、ね? もう、一番星は見失ってしまった。 もう、星々の灯りに紛れてしまった。 夕闇は何時の間にか宵闇へ。 何度も精尽き果てて、声が枯れるまで、 窓の杭はギシギシ軋むよ。 掴んだ指から血が溢れても、貴方は何も見ないままで、 ただ、機械のように僕を貫くだけで。 何度目か、僕の中で貴方が弾けたら、 そこに残るのは月影。 開かない窓は、僕に何も与えないけど、 冷たさだけはそれでも分かるから。 僕は、またひとり。 冷たい床で気がついた時、いつもそこに貴方はいなくて、 そんな事とうに分かってても、 つい、漏れてしまう苦笑い。 星はもう無数に空を埋めていて、 一つぐらい僕が掴んで手にとっても、きっと誰も困らないだろうにね、 なんて、またそんな妄想が浮かんで消えて、 僕は血が滲んだ自分の掌を見るんだ。 ――こんな血まみれの星なんて、やっぱり嫌かな?…… 暗い部屋で一人笑い。 貴方の動向や無言の言葉さえ、虚ろな頭に浮かんできて、 僕は熱に浮かれたように、笑って窓の外を見る。 いつも強く捕まれる腰の辺りに、 いっそ痕ぐらいついてないものかと、 だるい身体は重いままで外を見る。 硬く仕込まれた重厚な鉄格子に、滲んで染みついた僕の血に視界を阻まれながら。 ねぇ……どうして貴方は、 いつも僕の背中しか見ないのかなぁ…? どうして僕の顔を見ずに抱くのかなぁ…? 例えばそれが、 貴方の心の奥深くで気付かない内に蔓延った、 後ろめたさだったらいいのに、 ……なんてね。 僕は心の中で呟いて、また喉の奥で、笑った。 |
うむむむ・・・・・鬼畜受っぽいなぁ・・・すいません。
只今作者がキチクーモードなものでして。 良い具合に電波キてたらいいんだが。 壊れ具合はどーでせうか、カミちゃんの。何しろラヂオだし(謎 つか、また監禁なんですか(焦 烏×カミだと、どーしても何時の間にか監禁が当たり前に・・・。 うむむ・・・・仕方ない、私の趣味です!(どーん) ・・いや、マジ。 えらい久しぶりに文章書いてみたくなったんで 突然ガガーっと書き上げたもんでして・・。 でも久々に書いても、やっぱ私の文章だなーと思ったです(当たり前) 意味不明で・・。 とにかく、最初の節と最後の節の繋がりさえ 分かってもらえたら、これ幸い。 因みに、「アウェルサ・ウェヌス」ってのは、 「後ろからの愛」って意味の言葉で(確かギリシア語・・だったかな?) 要は、まぁ・・体位ぢゃなくて・・入れるトコが後ろ(以下略 ・・・そんな言葉なのです!(笑顔 あ、でもこの話のポイントはバッ(以下自粛 |