今さえもそして未来さえも 現に囚われ 痛みに囚われ 快楽に惑わされ。 君のその憂えた指先。 たどたどしい言葉の端々に 甘い吐息と毒が洩れる。 JUST A TIMEに浸蝕される これ以上を何も欲しくはなかったよ 己の目の前にある その現実があるならば、 今以上を何も望みはしなかったよ 今、いと が きれた。 銀糸が露を湛えさせ 甘くしなやかに身を削る。 蜘蛛は無言のままに しめやかに事を成した。 君の躯を眠らせたまま。 訪れた悪意のままに 欲した自分が魘される 汚せなかった悪夢を 君から奪い去ることもできなかった 君は 微笑っていた のに? 許せない鼓動 あの忌まわしい唇から 断絶された夢を産む 卵が孵るまで 己の欲で肥えさせた 甘美な檻に締め上げる 甘い真綿で。 取り戻せない 今が消えない 君がいない ここにもどこにもこの手のひらに 落とす泪 何処。 --------------------------------------- |
やわらかな体温が、存在したかすかな重み。 白いベッドの中に眠る 細い風の金色の糸。 その存在が在りし時をたゆたう 淡い波のような皺の跡。 蝉は一年の幾度かを土の中で夢見、 そして鮮やかに誕生する。 次の季節を迎えられぬというのに。 その経緯を思い起こさせる儚い微笑。 消え入りそうな、絹の糸のような君。 風が吹くと、連れ去られそうだった。 だから強く抱きとめて、 君を離さぬように、 君を失わぬように、 何時でも手を離さずにいたのに。 なのに、君は、今、いない。 気が焦るまま、いくつもの部屋を叩き壊した。 扉は砕け、心と同じ穴が空く。 黒い隙間風が髪を揺らして、 胡散臭いその感覚に眉をひそめた。 何度も何度も何度も何度も何度も何度も 呼び続け、 狂おしい狂おしい愛おしい狂おしい狂おしい 涙を探した。 声が枯れ 指先に血が滲み 息が上がり 器官を刺激する。 限りない絶望。 敷き布を埋める君の香い 手に纏わり付く細い肢体 潤む事しか知らない、 翳りを帯びた瞳 それを全て。 抱き締めたくても 君がいない。 心の中で暗雲が犇めく。 彼≠フ腕に殺される君が。 惑う身を切り裂いて 再び何かを成就するために。 欲望がすべての、悪意。 一体これ以上何を奪えば気がすむというのか。 一体これ以上何を壊せば気がすむというのか。 君の命と鮮明さを はなから奪い、色を無に変えた。 君の純潔と道標を いつからか汚し、色をひとつに染めた。 君には何も残らない。 それでも生き続ける、浅ましい生命欲。 それを手放そうとまでした君を、 これ以上、どう傷つける事ができるというのか? 気付いた時には走り出していた。 どこを目指すのかも自分で分からずに、 ただひたすら駆けていた。 こんな肺なんか、潰れてしまえ。 何度も思い起こせる君の嬌声。 赤子の様に手を伸ばし、 この顔に触れていたね。 濡れた瞳が一直線に 差し向かう光線を 受け止めてあげたよ。 どんなに どんなに 汚されようと 自分だけは君を見失わないように。 自分だけは君を見捨てないように。 自分だけは君を抱き締めていられますように。 ずっと。 昼間でも夜でも朝でも宇宙の果ての時間の中でも 握った手を離しはしない。 可愛さ余って憎さ百倍なんて、 そんなもの信じない。 ずっと、ずっと、ずっと 歩いていけたらいい。 ずっと、ずっと、ずっと 二人であの空を見よう。 神が君臨する事のない世界で、 君だけが全てで、 神など必要ない塊に 君だけを信じさせたい。 新緑が萌えるこの世界に 神ではない 君だけが神。 足が止まる 引き攣れた現実と 疎ましいなれの果て。 君のやわらかな微笑みと 彼のひねくれた微笑みが 心を刺した。 緑の中の肉塊と 浅ましい肉食動物が、 この世の何者をも連れ去る。 欲望に支配された混沌。 欲望にもみくちゃにされた秩序。 エロスとタナトスが 交じり合い、破壊される、 残酷な憧憬。 駆け戻った時にふと嗅いだ香りが 昨日の君の香りで良かった。 それでも微笑っている君は やっぱり少し憎らしい。 体に残る体液と、淫猥な翳りと。 そんなものに支配されても 奇矯にさえならず 発する呼び名は 彼のものだったのか、 自分のものだったのか 考えると頭が痛い。 零れた涙を吸い込んでよ。 その細胞に、神経に、血管に。 ひとつになったと思えた自分は 一体何だったの?と 疑問に思わせないで。 遠くなるこの世界の 深い緑色に包まれ 今度は君を奪ってもいいだろうか? 彼にも渡さず 誰にも渡さず 欲望とひとつになっても許してくれるだろうか? 連れ帰った君の屍体と一緒に 晩餐会を開こう。 蝋燭に火を点すから 綺麗な声で謳って? 泣いてなんかいないから 綺麗な声で 小鳥のように囀ってよ。 そしたら今度こそ、 寝かせないからね。 朝までずっと 抱いていていい? |
本家Progressive鬼畜堂に置いていた散文を移して持ってきたヤツです。
これが初めて書いた浄×カミなんて…痛いわ(苦
書いちゃったら、とうとうごじょさんが壊れてしまった…。 自分の得意技かましたら、こんな風に…(滝汗 自分では凄く気に入ってるんですけど、一般的じゃないよなぁ、コレって。 ダーク&耽美好きが書くとこうなっちゃうよ、って感じっす=3 *以下、自己満足な解説* えーと、背景にある設定としては、やっぱしごじょさんとカミサマは 一緒にいるんですけど(しかーも、文面から見るに、かなりらぶらぶ/死) ちょっとした隙に(笑)烏哭がさらっちゃったよ! あらビックリ!!って感じです。 烏哭(というか博士)は別にカミサマに愛情の執着はないよーな気はするんですけど、 遊び?ですかね。それプラス子供と同じで、他人に取られると、 取り返したくなるってゆーか、そんな気持ちも含まれてるよーな…。 ま、そんな訳で、さらわれた挙げ句、犯り殺されちゃったって話です(あっさり) いや、烏哭、どうやら初めから犯り殺すつもりでさらったみたいです。 (自分が書いたもののコメントには見えないな…) |