ココナッツミルク

















夕暮れは風が気持ちよくていいよね。

一日が全部浄化されていくような気がして、とても好きなんだ。



ベランダに出て、外の空気を吸うとね、

自分が自分でなくなるようで怖いけど、

それでも心の中がすっきりするから、僕はいつもこうしてたいんだ。




今日の風は特に強くて、

窓を開け放ったら、僕の髪の毛は上空を目差した。

目に痛くて、ちょっと瞼を閉じてしまったけれど、

それでもやっぱりこの空気が好きだから、

僕は身を乗り出して、風に吹かれるままになる。




また、僕の髪が、風で舞い上がった。




ねぇ、君はここで風に吹かれてたくないの?

地上25mの突出した空間にはね、

僕と君だけがいて、

誰も来ないんだよ。

誰もいなくて

いなくて

いなくて、

この風と僕と君だけが共存するんだ。




ほら、窓を開けて、

大きく体をせり出したら、

だぁれもいなくて

いなくて

いなくて、

空中に浮いたようにふわふわ ふわふわ ってするんだよ。



静かで誰にも邪魔できない、

綺麗な場所。

綺麗な空気。





























------柵から体を半分出したまま、

大きく伸びをした僕の、

背中を優しい温度がそっと包んだ。

空中に浮くよりふわり と、

それは優しく、僕の体を引き寄せた。



君の腕が、肩が、僕を現実へと連れ帰る。



「あんまし危ねぇ事すんじゃねーよ・・ 落ちるかと思っただろーが」

真面目くさった声で君が言うから、

僕は何だか可笑しくなって、声を出して笑った。

背中があったかい。



「風がもっと強かったら、僕、飛んで行っちゃうかもねー・・・・」

なんて冗談めかしく呟いて、

僕はベランダの柵に手をかけたまま、君にもたれた。

体の重心を全部君にあずけて。



それを確かめるように、

君の腕は、更に固く僕を受け止める。

ぎゅうっと、強く。




もう一度、大きな風が吹いた。












「あー・・・・お前はココナッツミルクの匂いがするな」

君が僕の髪に顔を埋めて呟いた。

「甘ったりーわ」





・・・・それはね、

僕が一番大好きで、

一番食べたくなる匂いだからだよ。

甘くて

おいしそうで

いいにおい。


・・・・・・だから。










風はずっと強くて、

今は二人分の髪の毛を揺らしている。


誰もいなくて

綺麗な空気が、僕を浄化する。

まるで自分じゃないみたい。




























僕と君は、

ずっとそのまま、

無言のままで、風に吹かれた。

誰にも邪魔されない

綺麗な場所で。

ずっと。

ずっと。



















君にもたれたまま、

僕は気持ち良くって、また目を閉じた。

僕を連れ去りそうな強い風、

僕を引き止める強い腕。



君の腕の中で、

まどろみに似た浮遊感の中で

僕は心で君に問い掛ける。







-----ねぇ、

たとえこの風が、

もっと強く吹いて、

僕がどこかへ飛んでいっても、









君は、

きっと絶対に、

僕を受け止めてくれるよね?





そう信じていて、いいよね?








*stay* 2005-2002.T・U・E.WhiteBox.Rin Inoue.Josefine-kainahime





浄カミ甘々計画第2弾。
どーにかしろ、こいつら。(爆
って言うか、甘い世界がクセになってるみたいです。あたい。
もーここ最近ハズミがついたと言うか、
照れとゆーものが無くなってきたらしい(笑
ほっとくとずっと書くぞ、コイツ(汗
あたしの頭の中なんていつもこんな感じですわ・・。


前回(ワンルーム。)の続編ぽいっつか、
同じ設定みたいな感じです。
いくらなんでもワンルームマンションじゃないと思うけど。
ベランダあるしね。
ちょっと現代ものちっくってゆーか、まぁ。
しかし地上25mって何階だよ・・・高ぇよ;
(分からずに書いたらしい)
やっぱ悟浄さんは金持ちなのか・・・・。


何故ココナッツミルクかというと、仕事中に言葉が浮かんで、
それから膨らんでいっただけです〜。
個人的にココナッツは好きです。あたしは。
ちゅーか、ココナッツミルクの匂いの意味は分かるでしょか。
自分にとって、大好きでおいしそーな匂いだから、
いつでも自分を食べてvって意味なんですケド・・・
(分かりづらい;)


あーーでも今回何だか文章がまとまってない・・・。






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