h a p p y























あぁ、もう随分暖かくなったなぁ。
もうすぐしたら蝶も飛び始めるよね。
・・でもまだ寒くて。
ときたま吹く冷たい風なんかなくても、

ひとり。




僕はここでただ待ってるだけの、鳥の巣。
ウミツバメならまだいいのにね、
危険を冒して、
崖を登って己の欲で、
僕を手に入れる為に涎を垂らして狙うハンター、
僕はそれを目の当たりにしながら、
それだってずっと孤独を癒す事には変りはないって、
ただ、
ただ、
上からそれを見下ろすのにね。




・・・なんて、ただぼんやりと溜息の底。

毎日これじゃやりきれない。
それでも必ず親鳥は帰ってくるからさ、
僕は何処にもいかず、ここで待ってるんだ。

ただ何となくね、
行く所もないからね。



ずっと穴の空いたままのペットボトル。
焼却されるのを待ってる、
ただ無意味に存在する抜け殻。

何故息をしてるの?
何故生きてるの?
・・・・さぁね、分からない。
































バタン、とやけに大きなドアの音が上がったのはもう午後11時半。
灯油の切れたストーブが、
いやな臭いを出して冷たくなっていくのをじっと見てた僕の
背後から聞こえる、慌ただしい騒音。



ドタンガシャンバタン!!!
・・・・・・・・あ、転んだ。

火の灯らないストーブのかすかな残りの温もりに手を浸していた僕は、
振り向きもせず笑っちゃう。
だって、見なくてもさ、見えるから。
その顔まで、しっかりね。

「っっっってぇぇぇぇーー!!!」
その後に聞こえる殊更大きな声。
それを合図にしたように、僕はやっと振り返る。

泣きそうな顔の君は、足を掴んで飛び跳ねてる。

「ぷっ」

その仕草が、いつか何処かで見たオモチャの動物みたいで、
思わず声に出してしまった。

「わ・・・笑ってんじゃねー・・・・・・・いてててて・・」

必死にもとの顔に戻そうとして、焦ってそんな事を言う君だけど、
硬い床に打ち付けた足は相当痛いようで。
忌々しそうに玄関マットを睨んでる所を見ると、
それが滑って転んだのかな?

いつまでも足を擦ってる君をずっと眺めながら、
それでも僕はまだ寒いまま。
何となく君がいると温度が上がるみたいで、
痛そうな君には悪いけど、少し嬉しくなってしまう。

まだブツブツ文句を言いながら、君はようやく部屋に到着。
上着を乱暴にソファに投げて、
火の消えたストーブに近寄ってくる。

「コレ、もー灯油切れてんじゃねーか・・・」
そうだよ?と振り返った僕は、君の顔が思ったよりシリアスで
ちょっとビックリした。

「悪ぃ・・・・・遅くなって・・・・・寒かっただろ?」
そのまま、
ギュっと後ろから抱き締められた。
強く。

「手も冷てぇな・・・・・」
君の大きな手に包まれたら、すごく温かく感じて、
それってやっぱり、僕の手が冷たいってコトなのかな?
・・・全然気付いてなかった。

だってさ、僕はいつも一人だから。
君がいなければ一人だから。
僕は僕以外の何も知らない。
僕の体温も、僕の心の空虚さも・・・・他の誰とも比べた事がない。

「ムカつくぐれーバイトでコキ使われてよ・・・・」
前より更にギュっと強く君の腕を感じる。
・・・でも、まだ整わない呼吸が微かに聞こえるって事は、
きっと凄く急いで、走って帰って来たんだよね?


「・・・・・・・・・」


暫く無言のまま。
君も僕も、そのまま。
冷え切ってしまった部屋の中で、
少しでも温もりを確かめるみたいにそのままでいた。

やがて、僕の頭に、君のおでこがこつんと当たる感覚。
顔を埋めるように、キュッと近付いた、君の吐息が温かい。

「でも・・・・良かった」

ボソリとそう聞こえたから思わず僕はきき返す。
「・・・・・何が?」


「何とか今日中に帰り着けた」


ぐるっと身体が傾けられて、僕は君と正面向かいになる。
今までくっついてた背中が、少しだけひんやりした。

僕の肩に手を置いた君は、勿体つけるように一息つく。
じっと見詰められた赤い目が、何処と無く子供じみてキラキラして見えた。

「ホラ、これ」
ポケットから出された、小さな包みを手渡されて、
僕は一瞬、きょとんとした。
口元に笑みを浮かべてる君の顔を、見上げる。




「・・・・2月24日・・・・・今日、お前の誕生日だろ?」




「え・・・・・」
僕の声は掠れて殆ど出なかったけど、
多分君には聞こえてるはず。
その証拠に、君は僕の手を強く握り締めるから。
ああ・・・・・暖かいなぁ・・・・。

「ボーっとしてねぇで開けてみろよ」
そう言われて、僕は我に返ったように、もう一度、君の顔を見上げた。
何だか贈り物をしてる君の方が嬉しそうで・・・・
その笑顔を見たら、僕もつられて微笑ってしまう。

手の中の小さな包みは、
その銀色のキラキラした四角い形をキレイに小さなリボンで飾ってあった。
シュルっと滑らかな音を立てて、そのリボンが解かれる。


「あ・・・・・これ・・」
中を見た僕は思わずそう声を出す。
小さな箱の中に・・・・その包み紙よりも鮮やかな銀色の光。

「前にお前が、俺のクロム・ハーツ見て欲しがってただろ。
同じやつ探すの苦労したんだって!コレでも」

楽しげにそう言う君は、僕を待たずに勝手にその箱の中身を取出し、
僕の中指にさっさとそれを嵌めた。

「ホ〜ラ、サイズもピッタリだし〜!さすが俺!!」
自分の行動に自分で納得してる得意げな君の顔。
でも・・・僕はすぐにコトバなんか出ない。


僕がまだ夢の中みたいにぼんやりしてると、
君は僕の頭をぽんぽん、とやさしく撫でた。
ふいに、視界は君の胸。
ぎゅっ、と硬く腕の中に絡め取られた僕は、
ただ、目を閉じて君に身体を預ける。
ああ・・・・・・すごく暖かい・・・・。


「俺、もーバイト遅くならねーよーにするからよ・・・・・・」
実は今までコレの為に頑張ってて、と付け足しみたいにボソっと呟く君。
僕は君の腕の中で、こくん、と肯いた。
「うん・・・・・・・・・ありがと・・」
小さい声だったから、君に聞こえたかどうか不安だったけど。


君に強くしがみ付くように抱きついて、僕はただ、ぎゅっと顔をその身体に埋める。
そのやさしい手が僕の髪を何度か撫で、
君の唇がそっと触れたのを感じた。

「お前が産まれてきた事にカンシャする日だからな」

ぼくはただそのままで、
まるで眠りにおちていくような、心地良い安堵感。







「僕はね・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ん?」


聞こえないくらい小さな声で僕は呟く。
じっと、目を閉じたまま。


「今までさ・・・産まれてこなきゃ良かった、って思った事は無いケド・・
産まれてきて良かったと思ったコトも、一度も無かった」

君は、ただ黙って聞いている。

「でも、今日は・・・・・」

僕は君の背中に腕を強く絡める。
ゆりかごみたいな君の身体。
暖かくて、トクン、トクンと聞こえる、穏やかな心臓の鼓動。
そっと、その中でまどろむ僕。


--------『産まれてきて、良かった』











もう聞こえない僕の声。
この瞬間がいつまでも、ずっと続けばいいなんて、
そんな夢みたいな事を感じながら、
僕は君の鼓動を聞いた。

生きている証がここにあるなら、
君にも聞こえて欲しい。
僕の生きてきた事と、ここに今生きてる事を、
・・・・君に伝えたい。






























------Are You Happy?


いつかどこかのTVから聞こえて来た言葉。

今だったら、
僕は笑って応えられるよ。




























" Yes,Of Cause."














*happy*
2005-2002.T・U・E.WhiteBox.Rin Inoue.Josefine-kainahime






駄作ですいません。あぅぅ;
急ぎました!急いで書きました!(焦
そんなん言い訳にもなりませんが、言い訳します(をい;)
全く校正してない状態で・・・初書き状態暴露してるだけ
みたいな・・・・うわーーーー(汗


とにかく、今日(2/24)には絶対UPしなければ!
と目論んだ、カミ誕生日ネタ+浄カミでラヴv
クリア出来て・・・・・ないような(-_-;)
当日に急いで書くなよ・・・って感じですが。


えーとえーと。
私ゃクロム・ハーツなんて高いもん買った事ねぇんで(笑)
どんな箱に入れてくれるとか知りません。
違っても笑って下さい!(笑


・・で、指輪。
何故中指?とか思われるかもしれません。
左手の薬指はなくても(笑)せめて右手の薬指にしろよ!
とか思われるかもしれませんが、
私的に、ステディリングなんて女々しい感じがイヤだっただけです。
一応二人とも男なんだからさ・・・(笑
シルバーリング(私のイメージではごっついヤツ)は中指が
カッコイイと思いませぬか?
別に特別な意味で指輪をあげるんじゃなく、
純粋に欲しがってたものをあげた、って感じなのです。ハイ。


あーーーそれにしても・・・悟浄さんがらしくなくて嫌(涙
忘れかけてるヨ、あたし・・・・。
それと、カミちゃんがちょっと乙女入ってて・・・
それもかなり自分的には・・・ちょっと嫌なのですが(汗


あ、ここでも一応言っておきますが、
2/24がカミの誕生日ってのは、私の勝手設定ですので(笑






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